北大医学部野球部 羊々杯(ようようはい ) 懇親会

2023年9月 羊々杯 サッポロビール園にて その場にいた、北大医学部野球部員たちと

北大医学部野球部のOB戦が毎年この時期に開催されており、懇親会に参加してきました。

私が北大医学部準硬式野球部に所属していたのはもう20年も前のことになりますが、羊々杯(ようようはい)というのは、いつ始まったかは私も知りませんが、少なくとも40年くらいは続いているものと思われます。

羊々杯とは北大医学部野球部の現役部員とOBとの試合で、試合の後にジンギスカンを食べに行くので羊々杯と名付けられ、活躍した選手に懇親会でいくつかの賞と景品が手渡されるという、伝統の行事です。

取り仕切るのは ハウプト(ドイツ語。現役部員には今は死語とのこと)呼ばれる、医学部5年生くらいの部活の幹部の中の主務です。私もやりました。300人以上くらいはいると思われる、北大医学部野球部のOBの中で札幌近郊にいるドクターズに連絡をとり、試合会場と懇親会場の手配とOBの先生たちとの接遇をこなすという、私が主務をしていたときは、ちょっと気疲れのするお仕事でした。

日曜日の昼に行われた試合は、私はスワンでの診療のため参加することはできませんでしたが、サッポロビール園で行われた羊々杯の懇親会には参加させてもらい、ジンギスカンとビールの飲み放題を堪能しました。現役時代は緊張のため全く美味しいと感じる余裕がありませんでしたが、久々に食べてみるとジンギスカンもとても美味しく、エビスビールとサッポロクラシックを程よくいただき、現役部員たちも気を遣ってくれて、非常に和やかにリラックして楽しむことができました。

医学生は勉強時間が長いため、強度近視の割合が多く、コンタクトレンズユーザーも多いのですが、1年以上眼科に受診できていない学生も多かったです。大切な大会の前に目のトラブルでコンタクトレンズを使うことができなくなってしまわないように(かつてそういう先輩がいました)、目の病気のチェックと度数の確認などにスワンに定期受診するように啓発活動もちゃっかり行ってきました。

とても気分が良かったのと、私自身が受けた膝の手術と、その後の別の怪我の回復もしてきたため、暑くも寒くもないこの時期、サッポロビール園から25分くらいかけてスワンに歩いて帰ってきてブログを書いてます。日曜日の21時台の街中は人通りも少なく、膝の調子もまずまずで、これほどの長距離を歩くことができたのは久しぶりで、手術をしてくれたドクターはじめ医療従事者の方には感謝です。

北大医学部の歴史というのはとても古く、私は81期なのですが、今の1年生はなんと105期だそうで、二回りも離れています。コロナでしばらくこのような懇親会がなかったこともありますが、ちょっと前に顔を出した新歓コンパでは1年生だったはずの学生がもう6年生になっていて、年が経つのがどんどん早くなっています😅 。 ススキノのおねーさんと野球部員には、木村は若く見てもらえるようで、「スワンのサプリメントでアンチエイジングしているから😁」とさりげなく宣伝をしています。写真の中の私も、20代の若者の中に溶け込んでいますでしょうか。

医学部という、たかだか一学年が90人程度の限られた人数の中で構成される野球部で、現在の部員数は16名となかなかの人数を要しており、なんと全道大会二部リーグで優勝し、一部リーグに昇格が決定しました。私が現役だった時とその前後はしばらくずっと二部リーグだったので、一部リーグに昇格というのは例えるなら、日ハムが突然また優勝する、よりもレアな状態です。医学部6年生では病院実習と部活の練習・大会への出場・卒業試験・国家試験の勉強をすべてこなさなければならないので、私からするとなかなか両立するのは考えられないのですが、なんと4名も6年生になっても野球を続けて活躍したからこその、一部リーグ昇格でした。私は5年生を最後に野球部を引退して、国家試験の勉強に専念しましたが、それでも国家試験本番では(大学入試の時のように)「やべ、落ちたかも」というくらい試験が難しく感じたので、文武両道をこなす6年生に感心します。試験も厳しくなってきて、進級試験みたいのが制度化されています。

北大医学部野球部というのは、北大医学部生という受験エリートの集団であるにもかかわらず、意外にも、高校野球に打ち込んだ上で、さらっと現役合格して北大医学部野球部に入部している学生が何人もいるのも、驚きです。かつてドラフトにかかりかけたがプロ野球の道ではなく、北大医学部に進学し野球部に入部した圧倒的な学生もいました。飲み会の後に、試しに、スラッガーズのストラックアウトで投げてもらったら、2回目くらいの挑戦で9枚抜きしてました。

優勝すると医学部の前の噴水の前に飛び込んだりとか(私の時代はすでになかったですが)、学校の中で(人の少ないところを選んでですが)素振りしたりとか、階段ダッシュをしたりとか、ちょっと前までは北大キャンパス内の芝生で堂々とジンギスカンを行っていたりとか、大学祭ではアルコールがバンバン提供されていたりとか、懐かしい思い出です。

現役部員から、「オンライン家庭教師のアルバイト」、「今は選択科目の第二外国語は韓国語が人気」など時代の変化を感じました。

部活の上下関係はなくはないものの、下級生だけが荷物を運んだりする、というようなことは今ではないようで、フラットな人間関係と、上級生にも意見しやすい環境が普通になってきているようでした。

私の場合は、合宿は非常に辛い思い出が9割(合宿所をプリズンと称していた先輩もいました)でしたが、今の学生はそれなりに楽しんでチームワークよくやっているようです。

Googleによると、強いチームづくりには、風通しよくお互いをさらけ出したり気遣ったり意見を言い合うことができる、心理的安全性がある環境が重要だそうです。2時間の懇親会でしたが、そのようなチームの雰囲気を感じました。スポーツも、医者を含む社会人の世界も苛烈な競争社会で、他者よりも優れることが求められるわけで、それがあるからWBCの優勝にも熱狂します。競争は必要なことですし否定しませんが、特に医療従事者は老人や病人など、かつての勝者もいずれ必ず訪れる、弱者の立場になった患者さんに救いを差し伸べるお仕事ですから、きっとみんな、強さと優しさを兼ね備えた、優秀な医師に育ってゆくことと思います。