ブルーライトカットメガネについて  ログハウスのログ4

最近質問されることは少なくなりましたが、「ブルーライトカットめがね はしたほうが良いのか?」と言うことをたまに聞かれます。私の回答としては「ご自身の許容できる範囲(通常は普通のメガネに3000円以内くらいのアップ料金で済むのでは無いかと思いますが)なら試してみて良いと思います。ただ、ブルーライトカットメガネにすると、眠くなってしまう方もいるようですよ。あまりに高いと感じる料金設定の場合は、怪しいかもしれませんから、やめておいた方が良いと思います。」と回答しています。

ちなみに、アメリカの雑誌では、「ブルーライトカットメガネには科学的根拠がないから、パソコン疲れ対策として推奨しません」

https://www.aao.org/eye-health/tips-prevention/should-you-be-worried-about-blue-light

Skip the glasses that claim to protect your eyes against blue light, because of a lack of evidence that they are effective. The Academy does not recommend any special blue light-blocking eyewear for computer use.”

と言うことらしく、日本眼科医会 という、私も所属している、眼科開業医の会 みたいなところとしては、「子供にはブルーライトカット眼鏡を推奨する根拠なし」と言うことを言っています。

では、青色光は全く問題ないか、というとやはりそうでもなく、酸化ストレスを起こしやすいという問題があります。酸化ストレスって言葉はマジックワード的にいろんなところで登場しますが、全ての老化に関わっているイメージなので、避けた方が良いものです。全てが老化が原因ではありませんが、白内障も緑内障も加齢黄斑変性症も酸化ストレスは悪化させる要因です。

年齢を重ねると水晶体が黄色みがかってきますが、これが天然のブルーライトカット成分となっています。青色光をブロックする黄斑色素というものが年齢とともに低下してしまうのですが、人間の体というのはよくできたもので、年齢を重ねて青色光に弱くなるのを、白内障が打ち消して守ってくれているかのようでもあります。でも、白内障は見えづらくて困るので(当たり前)、白内障手術がいずれ必要になります。手術の時に黄色みをすっきりとって、クリアな見え方(黄色成分がなくなるので青っぽく見えるように感じます)にするか、挿入する眼内レンズに自然なイエローを入れたナチュラルな見え方(青色光を減弱)させるか、一長一短ですが、最近の傾向としては、「薄めのちょっと黄色い着色レンズ」が、多分一番多く選ばれているんじゃないかと思います。若くして白内障になってしまう疾患もありますが、そのような場合、眼内レンズは黄色でなく、透明なレンズが選ばれることが多いです(手術をした目が黄色く見えてしまうと違和感を感じるから)。

青色光を防ぐ効果のある、黄斑色素というものは、ルテイン・ゼアキサンチンなどを補充することでしか作られません。ルテインは、ほうれん草など色の濃い葉物野菜に多く含まれるので、積極的に摂取するのが良いと思います。

ブルーライトは、スマホやタブレット、パソコンのモニターから 発せられています(太陽光に含まれる青色光の方がよっぽど多いです)。エビデンスレベルが一気に落ちますが、私の経験と考えでは「青色光は減らすのにこしたことはないようだし、ブルーライトカットメガネ使ってみたら、ちょっと疲れにくいような気がする。高くなければいいんじゃない。」と感じています。来年?くらいから建て替えという、ピヴォに入っている、メガネのプリンスさんで 、大ヒットした クリオネ と言う眼鏡で「近くが楽な度数」を少し入れた、かつブルーライトカットの眼鏡を、私も作製しました。これはもう、9年くらい前(理想的には老化しているので、老眼の度数をあげた方が良いのかもしれませんが アスタキサンチンなどでアンチエイジングしているのでなんとか もっていると感じています)でしたが、今でも、目が疲れると、かけてみたりしています。ブルーライトカット眼鏡というのはどうやら少し黄色みがかっていて、LED電球の反射などが青くレンズ上で反射しているようで、なんだか見た目的にブルーライトをカットしてくれていて、「なんか良さげ?」みたいに思っています。「ブルーライトカットに意味はある」という視点としては、「ブルーライトは睡眠と覚醒のサーカディアンリズムに重要で、浴びると目が覚めてしまうので、夜寝る前はブルーライトは浴びない方が良い」というのは間違いないようです。「だったら、反対に、朝、目を覚ましたい時はブルーライトカット眼鏡などせずにパソコンの画面を明るくしてブルーライトを浴びると良いのだろうか」と考えましたが、普通に目が疲れますので、体力がある時以外はやっていません。そもそも、理想的には寝る前のパソコンスマホはやめた方が良いのですが、なかなかねえ・・・

少しずれます。

太陽光に含まれるブルーライトはスマホやパソコンから出るブルーライトよりよっぽど多いですが、太陽光は害ではなく、近視進行抑制には必要です(バイオレット光の成分が近視進行抑制に働くそうですが、最近、中国ではレッドライトセラピーという近視進行抑制治療がなされているそうです。紫は波長短め、赤は波長短めの可視光なので対極にあるイメージです。バイオレットとレッドともに近視進行抑制に重要であるということになるので 不思議です。何が効いているのかよくわからないです・・・)。もちろん、強い直射日光は避けてくださいね(紫外線)。

特に、小学生、中学生の、特に育ち盛りの年代の時は、昼間、屋外で過ごす時間を毎日2時間確保することを推奨します。近視の進行抑制効果があるからです。ただし、「北海道は住宅街でも熊が出没しますし、冬の屋外は普通に寒いし、夏は普通に暑いし、屋外には危険もあるので安全に出られる範囲で」とお話ししています。

(2021.12.21 追記)

近くの眼鏡店の店長さんに確認しましたが、やはりブルーライトカットのためのコストは3000円くらいが相場のようです。

ところで、私、近視進行抑制治療に取り組んでいます。その関連でメガネ屋さんの店長にアンケートとろうと思いつきまして、尋ねてみました。「(コンタクトレンズでは球面レンズの方が非球面レンズより近視が進行しやすいと言われているが)球面レンズと非球面レンズで近視進行のスピードに違いは感じるか」と。今回お聞きした店長は「球面・非球面レンズの違いで近視進行のスピードに違いは感じていない」とのことでしたが、そのあとに興味深いことを仰っていました。「ずっと球面レンズで作成していた強度近視のかたは、非球面レンズに変えると球面レンズと同じ度数なのに”弱く感じる、周辺がぼやける”と言われることが多い。」と。「球面収差による周辺部の歪みが軽減され、自然な見え方になるのが非球面レンズです」とセールストーク(実際そうなんだと思いますが)されるのが非球面レンズです。眼鏡の非球面レンズの方が通常少し高いのはこの付加価値によるものです。本日聞いた店長のお話では、球面レンズを選ぶ人は 3〜4割、非球面レンズには6〜7割 だそうで、やはり多数派は非球面レンズです。眼内レンズも確か非球面レンズが主流であったと思います。「非球面レンズの方が球面レンズより周辺がぼやける」とは逆説的で興味深いと思いました(眼球の形状が強度近視眼特有の変化があるのでは??)。このことや、海外では普通に使われている近視進行抑制眼鏡の話題も含めて今度、またブログか、固定ページを作ってゆこうと思います。

(2021.12.24 追記)

別の眼鏡店の店長さんに確認しましたが、ブルーライトカット眼鏡の追加料金はやはり3000円程度と確認できました。また、小児には進めないようにということも通達が届いていました。

「強度近視の方で、球面レンズに慣れていたかたに、非球面レンズの眼鏡をかけてもらうと、(非球面レンズはかえって料金はアップするのに)、弱く感じる 」というのはこの眼鏡店の店長(Uさん)も同じ見解で、「おそらく他の眼鏡店も同じだろう」とのことでした。

理由としては球面レンズの方が眼球に沿ってカーブしているので、「周辺部の頂点間距離が非球面レンズに比べて長くならないからということでした。」

そして、「小児の眼鏡に関して、球面レンズの場合と、非球面レンズの場合で近視進行の速度に違いは感じない」というのも別店の店長と同じ見解でした。