注目の 抗菌・抗ウィルス・抗真菌 点眼が市販薬として発売されます

今まで、流行性結膜炎の患者さんに「ウィルスの結膜炎なので特効薬はないから。」といって、対症療法の点眼治療をしていましたが、どうやらもう少し効果のある点眼が、医師の処方を必要としない市販薬として発売されます。 「サンヨード」という商品名です。

この点眼、ちょっと注目しています。

白内障手術や、目玉に注射(硝子体注射)の時の目の消毒に長らく使用されてきた実績があります。消毒薬なので、 細菌だけでなく、ウイルス、カビ、アカントアメーバ、などを殺す効果もあります。今までこれといった治療薬がなかった、アデノウィルス角結膜炎にどうやら効くらしいという研究結果があります。ひょっとしたら、アカントアメーバ角膜炎、ヘルペス角結膜炎、クラミジア結膜炎に効果あるかもしれません。どれくらい眼内移行するか知りませんが、もしかしたらサイトメガロウィルス眼感染症に使ってみても良いかもしれません。市販薬なので、点眼にアレルギーさえなければ、幅広く使用してみて、デメリットはないはずだろうと思います。

安全性に関しては、長らく目の手術前の消毒に使われていた歴史があるので「市販薬として出してもまあ、大丈夫だろう」という感じのようです。しかしながら、点眼としての使用を「3日間」と限定しているのは、点眼薬として、持続的に使用することによる副作用があるかどうかは未知であるからだと思います。

ただ、使用経験のある先生の話を聞いたことがないので、本当にどれくらい効くのか、副作用がどうなのか、未知な部分もあります。

市販薬なので、医師が処方するのではなく「これ買って」と指名して、薬局で自身で購入してもらう必要があります。

で、見本品を参天製薬さんに持ってきてもらって、自分で点眼してみました。

デメリットもあります。

まず、作るときに、失敗する可能性があります。私は説明書を、見ながら、一応、一回でうまくゆきましたが、初めての患者さんが自作しようとすると3割くらいの人はこぼしたり、冷蔵庫から出してすぐだとあまり溶けなかったりで、作るのに失敗するのではないかな、と思います。調剤薬局で、薬剤師さんが溶かしてくれると良いのですが、そこまでしてくれないことも多かろうと思います。似たような溶かし方の、ベストロンという抗菌点眼は、スワンでは、院内でスタッフが溶解して、患者様にお渡ししています。

あと、理由はよくわからないですが、溶かして作ったら、「3日以内」が使用期限 であり、病気が治るまで、理屈上何回も(流行性角結膜炎なら15日間点眼した研究があります)買いに行くのは現実的ではないでしょう。

あと、めちゃくちゃ しみます。私の知っている一番しみる某緑内障点眼と同じくらい沁みます。昼に点眼しましたが、夜になってもなんかシパシパしています。

あと、小さなことかもしれませんが、服につくとシミがなかなか取れなさそうです。

あと、価格です。3日間の有効期限の点眼なのに1500円くらいするそうです。保険は効きません。その価格でも参天製薬にとって利益の出る分野ではありません。

とはいえ、今まで治療法のなかった感染症に対して、「効くかもしれない」と私含め、多くの眼科医が注目しているのではないかと思います。

あと、全く適用外使用で、(万一トラブルになってしまった時には医師側が不利になるので、あまり積極的に使用する医師は少ないかもしれませんがそんなことより、何が本当に効くのか、と考えての行動)なのですが、忌むべき、白内障手術や目玉への注射の合併症、術後眼内炎(万が一以上の確率で起きてしまいます)の時に、一刻も早くこの点眼を、適切に薄めて、眼内に注射する使用ができるのであれば、多くの眼科医が使いやすいだろうか、と思いました。抗菌薬を取り寄せて薄めて、注射している間に、細菌は分単位で指数関数的に増殖してしまうので、今までの一般的な教科書に書いてあった2種類の抗菌点滴を薄めて、眼内注射するのは、少なくともスワンでは、現実的には無理です。一刻も早く治療を開始しなければならないのですが、なかなか、いざという時すぐに治療してくれる大病院につなぐことは大変で、時間を要してしまいます。大病院につなぐまでの初期治療として、個人的には期待できるのではないかと思っています。

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