検査機器 

スペキュラーマイクロスコープ

よごれたソフトコンタクトレンズを長い時間使用していると、酸素不足により、角膜内皮細胞が死んで減少してしまいます。コンタクトレンズ装用のほか、加齢、白内障手術、ICL手術、YAGレーザー、サイトメガロウィルス内皮炎、異常に高い眼圧が持続した場合などにより減少する角膜内皮の状態を把握することができます。また、角膜のむくみや目の中の炎症(ぶどう膜炎)で数値や所見が変化するので、ぶどう膜炎や角膜炎の病気の勢いの把握のためにもよく使用しています。検査時間が短く、通常、1分ほどで迅速に測定できるので、眼圧に影響する、角膜の厚みを知るためにも一番よく活用しています。

 OCT 光干渉断層計  RS -3000

緑内障の早期診断や経過観察によく用いています。10年間使用して、機械のクセ(他のOCTを長期に使用したことはもちろんありませんが)や傾向もつかめてきました。

緑内障の他、加齢黄斑変性症、網膜上膜、網膜偽円孔、中心性漿液性網脈絡膜症、黄斑部浮腫、黄斑円孔、中心部分に近い網膜剥離、などの診断に役立っています。

眼鏡やコンタクトレンズを合わせてもなぜか視力が出ない患者さんを検査してみたら、実は上記のような疾患だった、ということはしばしばあります。痛くない検査ですし、緑内障など比較的頻度の高い疾患の見逃しを防ぐために20歳以上程度のかたは、一度は受けておくことをおすすめします。検査所用時間は約5分です。(とても強い近視の方はソフトコンタクトレンズを装用して検査を受けていただくことがあります。白内障が強い患者さんの場合、画像が鮮明に得られません)

光学式眼軸長測定器 

0.01 mm単位で眼球の奥行きを測定することにより、近視の進行を客観的に判断することができます。低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーを導入すべきかどうかの判断や、近視の進行を抑える治療の効果の判断の参考にしています。

角膜形状解析装置 OPD scan III

角膜の形を詳細に捉え、円錐角膜などの角膜疾患の診断や、オルソケラトロジーの適応判断/治療効果判定などに用いています。

コンタクトレンズが検査結果に影響するので、理想的にはハードコンタクトレンズは3週間、乱視用ソフトコンタクトレンズは2週間、乱視なしのソフトコンタクトレンズは1週間、休止した上で検査を受けていただくのが望ましいです。一度だけの検査だけでなく、3ヶ月、半年、一年毎など近視や乱視の強さや年齢に応じて、定期的に検査することにより、「眼鏡やコンタクトレンズを使用しても視力が出ない状態」に進行してしまう前の、さらに手前で、疾患を発見し、適切な高度な施設にご紹介し治療に結びつけてゆきたいと考えています。2021年現在、早期の円錐角膜の治療である 角膜クロスリンキング は保険適応になっておらず、治療を受けられる施設は少ないですが、早期発見・早期治療で円錐角膜は9割以上、進行予防が可能と言われています。

特に子供〜30歳代前半のかたで、近視や乱視が最近早く進んでいる、コンタクトレンズや眼鏡の度数がどんどん強くなってしまっている、という方は、コンタクトレンズの休止期間をしっかりと取った上で、まずは一度、受けていただきたい検査です。

青いグルグルを覗き込む検査で、恐怖心を感じがちですが、検査員が瞼を開けると圧力で検査結果に影響してしまいますので、「目を閉じた状態から勢いをつけて、自分の力で大きく大きく目を開いて」検査の光を受けてめていただく意識で検査に臨んでいただくと、良いデータが得られます。

高次収差の数値により、客観的に白内障の程度を知るための参考にもしています。

近視進行抑制治療の低濃度アトロピン点眼では黒目(瞳孔径)が大きくなるので、その測定のためにも使用したりしています。